忍者ブログ
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
なにもない手から生まれるもの
今の所、機動警察パトレイバーがメイン 『好きこそ物の上手なれ』を目指して邁進中 
[PR] 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 

207ベース様より拝借「君の言葉」 >>  http://207.noor.jp/



初お題に挑戦です。

書けそうかなって感じのお題をいただいたのですが。どうなる事やらです。

イメージ膨らめて膨らめて膨らめて





「平気だ」と嘯くくせに君の目はどうしてそんなに悲しげなんだ(後藤×しのぶ)




特車2課の埋め立て地にも、心地よい風が吹き込む季節になってきていた。

もう秋に近いのだと、夕焼けを少し眺めながらしのぶは隊長室の窓を閉めた。

その瞬間1枚の紙がふわりと舞い、ゆっくりと床に落ちる。

後藤のデスクに置いてあった一枚のFAX用紙。

しのぶの元へも同じような用紙が届いていた。


それを拾い上げその用紙に目を落とすと、ため息が一つ出た。

丁寧に後藤のデスクへ戻すと自分の席へ着く。


向かいの住人は先程そのFAX用紙に軽く目を通すと、ふらりと隊長室から出て行ってしまった。

もちろん、その内容を全く知らなかった訳でもないし、結構前からその情報は入っていた。


しのぶは心の中で『後藤さんらしくないわね』と呟くも

自分もその気持ちが判らなくもなく、ましてや後藤の入れ込み様を考えたら

らしくなくなっても当たり前だと納得さえしてしまった。


ふと、思い出したように自分のデスクの引き出しを開ける。

先日紅茶を購入した際にオレンジピールをサンプルで貰っていた。

その時店員が「オレンジピールは不安やストレスを解消してくれて

リラックスしたい時にいいんですよ」と言っていたのだった。

気休めに過ぎないと思いながらも、紅茶と一緒にオレンジピールをティポットへ入れた。



ペタペタと言う足音とともに、後藤が隊長室へ戻って来た。

ほのかにオレンジの香りが室内を漂っている。


「しのぶさんなんの匂いなのコレ

後藤は鼻をひくつかせながら自分の席へ座る。


「はい気休めに過ぎないと思うけど

しのぶは後藤のカップをデスクに置くと、自分の席へ戻りブレンドティを飲み始める。


後藤はカップを覗き込み、やはりそこから立ち上るオレンジの香りに

「紅茶ってだけじゃないみたいだね」


「お気に召すか判らないけどオレンジピールをブレンドしてみたの」


「何それ?」


「ハーブと紅茶を混ぜてみたのよ」


ハーブがどんなものかもよく判らないが、とりあえず「へー」と頷きつつ

オレンジの甘い香りがする紅茶を一口飲んでみる。


「あ美味いね」


「そう良かったわ」


そう言うとしのぶが嬉しそうな笑顔を向ける。

普段そんな笑顔さえも見せない彼女だが、最近、自分と二人だけの時は

そんな女性らしい一面や表情を見せてくれる。

『しのぶさん可愛いんだからもっと笑えばいいのに』と言いたくなるが

怒らせる事必至なので、後藤は言えないでいる。


「だけどどうしてハーブなの?」


「このハーブって不安やストレスを解消してくれるらしいのよ」


しのぶが少し意地悪い目で後藤を見つめる。


「俺ストレス溜まってるように見えた?」


後藤はうそぶくように言いながら額に手を当てる。

しのぶはクスっと笑いながら


生徒との別れが辛くて、悲しそうに見えたからよ」


「まさかぁ」


「ホントです」


後藤は椅子を右へ半回転させ窓の外を眺める。

窓ガラスに映る自分の顔は、確かにどこか悲しげな不安げな気がした。

しかも指摘されるまで全くの無自覚だった。


「平気だよ」

その言葉は自分に言い聞かせるように出てきた。



「…そうなの?

 私は今回の移動で部下達と別れてしまうのは……正直寂しいわよ」


「しのぶさん


後藤はしのぶがそんな風に言うとは、思ってもいなかったので驚いた。


「あら私みたいな人間が寂しいと思うのは意外だった?」


「いやそうじゃなくて、寂しいと言う言葉を使ったのが意外」


後藤がニヤリと笑うと、今度はしのぶが少し恥ずかしくなった。

女だてらに特機の隊長をしているしのぶは、常に性別を超えようと自分自身に虚勢を張って生きてきた。

素直に自分の気持ちを表に出せば、やはり女だからと言われる世界。

しかし、先程本心を言えたのは、やはり目の前の後藤の落胆振りがあったからだ。


男社会である警察で、煮え湯を飲まされ続けてきた

しのぶは埋め立て地に来てから後藤という希有な存在を知った。

男とか女とかそんな物差しで人を見ない同僚。


それでも恥ずかしさを隠すために、しのぶはキッと後藤を睨みつけると


「平気という人が、そんな悲しげな目をしてるかしら?」


「しのぶさんは…優しいね。

 俺の事、見てくれてるんだ」


ますますニヤニヤする後藤に、しのぶは嫌顔をした。


「同情するんじゃ無かったわ。」


「なんで??嬉しいんだよ俺。」


「もう結構です。この話し終わりにしましょう!」


「しのぶさぁーん。もっと甘えさせてくれてもいいんじゃない?」


「知りません!!」


しのぶの怒る顔をみたら、後藤も流石にそれ以上続ける訳にもいかなかった。

後藤は苦笑いしながら、ブレンドティを啜る。

心の底から優しい同僚に感謝しつつ、『俺は平気だよ。まだ、しのぶさんとは一緒にいられるからね。』と呟くのだった。




 



ありがちな話でしょうか。異動の辞令がおりた時の隊長室です。

漫画のしのぶさんって自分にも他人にも厳しくて、男社会で生きてきた女性って感じがするんですよね。

隙を作らない女性。そんなイメージが強いしのぶさんは、私が書くと可愛げが無いですね。
優しさはあるんですけど…。
素直になれない。
そして後藤さんも素直になれなくて、エロオヤジに逃げてるって感じですね。

でも、こんなやり取りの二人って好きだ。


しかし、この「平気だ」って台詞を後藤さんに言わせようか、しのぶさんに言わせようか迷いました。

「平気よ」ってしのぶさんが言うのは何となく直ぐにイメージ沸くんですけど。

後藤さんが「平気だ」(強がりで)って言うのが意外とイメージしにくかったので、あえて後藤さんに言わせてみました。

でもやっぱり「平気だ」とは言わなそうだ。後藤さんって強がり言わなさそうだと思ってるの私だけ??

拍手[7回]

PR
COMMENTS
この記事にコメントする 
NAME:
TITLE:
URL:

MESSAGE:

PASS:[]
このカップリング好き 
大人の2人が大好きです。
やっぱり素敵な掛け合いをしてくれますね~
この2人もやっぱり原作の中から出てきたみたいですね。私には出来ないから、羨ましいです。

とこで、体調はいかがですか??
お大事に。
2010.10.29 23:07 Posted by ASAKI | Edit
TRACKBACKS
この記事にトラックバックする 
最新CM
[01/12 asaki]
[12/20 ASAKI]
[11/11 asaki]
[10/29 ASAKI]
[10/10 asaki]
ブログ内検索
カウンター
プロフィール
HN:
KIN​OE
性別:
女性
職業:
自由業
趣味:
何かを描いたり、書いたり。
自己紹介:
十年振りに絵を描く事を始めました。

鈍りまくった腕とペンタブ(使った事が無い)で

どこまで描ける様になるか、、、​

​恥をさらしながらも修行してみようと思っています。
バーコード
ブログ村
忍者ブログ [PR]
  /  Photo by MIZUTAMA  /  Design by Lenny