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なにもない手から生まれるもの |
今の所、機動警察パトレイバーがメイン 『好きこそ物の上手なれ』を目指して邁進中 |
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「憧れと尊敬と現実と」の対になるお話。あちらは風杜×松井バージョンでしたが、こちらは野明×後藤バージョンとなります。
この後に風杜×野明デート話があるのですが、、。(遊馬ファンの方申し訳ございません。)
退勤時間を少し回り更衣室を出た野明は、喫煙所でタバコを吸っている後藤を見かけた。
「隊長、お先に失礼しま〜す。」
「おう、お疲れさん。
泉。ーーーこの前の非番、風杜刑事に呼び出されたんだって?」
野明は一瞬驚いたような顔をした。
だが風杜に呼び出された理由が、例の黒いレイバーやシャフトの内海に関してなのだから、松井経由で後藤にその事が伝わってるのも当然と判断できた。
だけどあの呼び出しが捜査協力と言う名目に過ぎなくて、風杜の野明へ対する気持ちがそうさせた事なのは野明も理解していたし、後藤もそうだと知っていた。
「はい。黒いレイバーの話しや内海さんの事とかを聞かれましたけど…。」
「まぁ。あちらも一生懸命だって事かな………嫌がらないでやってよ。」
「嫌がるなんて…。捜査への協力なら当たり前です。」
後藤は少し笑いながら、口の端から白い煙を吐いた。
「………事件の話しだけじゃ無くてね。」
野明は少し照れたような、だけど困った笑い顔を後藤へ向ける。
「若いんだからさ。良いんじゃないの?」
まぁ。おじさんが兎や角言う事でもないな。」
後藤はタバコを灰皿へぎゅっと押し付け、”ほんじゃ、気をつけて帰ってちょうだい”と言って長椅子から立ち上がる。
「あの隊長……………
よくわからないんです。風杜さんはいい人だなぁって
思うんですけど…。
今は、仕事の方が大切って言うか……。
あまり、他の事は考えられないんです。
イロイロ考えちゃうと仕事が疎かになりそうで………
公私混同して…遊馬とギクシャクしそうで。
なんだか、仕事が出来なくなりそうで
怖いっていうか………。
すみません。まとまり無く、
訳わからない事言っちゃって。」
野明は手にしていたヘルメットを見つめたまま、自分の中の小さな嵐のような出来事を後藤へ話した。
俯いた顔は後藤に相談するべき事柄ではなかったなと、後悔の色さえ見せていた。
「そんな、難しく考える事もないと思うけどね。若いんだしさ。
ただ、一生懸命な相手に対しては何らかの答えを出してやるべきだとは思うよ。仮にその答えが相手に対して不利益であってもね。」
野明の肩をポンっと叩き、後藤は隊長室へ消えて行った。
「何らかの答え………か。」
バイクに跨がり、まだまだ暮れそうにない夕日を眺める野明の目にはすでに何の迷いも無く。
そして、いつもの様に力強く未来を見つめていた。
(隊長室より)
後藤が座ると、ぎぃぃっと椅子が悲鳴を上げた。
「どうかしたの?」
しのぶがさらさらと書類にペンを走らせながら聞いてきた。
「え、、。どうもしてませんよ。」
「そう?」
「何かあったように見えた?」
しかし、しのぶは部屋に入って来た後藤を一度も見ていなかった。滑らかに進むペンを止め、しのぶが顔を上げる。
「なんだか、困ってるような寂しいような感じがしたから」
「悩み多き若者が多数いるからね。ウチの小隊は…」
「後藤さんの所は、少し子ども過ぎるわ」
「……悩みの内容はなんであれ、悩んでいる時は子どもも大人も苦しいものさ。」
「お優しい事」
しのぶの厳しい発言に、後藤は苦笑いをして答えるしかなかった。
「しのぶさん俺の悩み聞いてくれる?」
「聞きません。」
「冷たいなぁ。同僚じゃないの。」
「聞くだけじゃ済まされそうにないもの。」
そう言うと、しのぶは書き上げた書類をファイルにおさめ、隊長室を出て行った。
「聞いてくれて、抱きしめてくれるだけでいいんだけどなぁ。」
一人残された後藤が、ぽつりとつぶやいた。